マレーシアでコンドミニアム投資 | 物件売却手続きを解説

マレーシアの物件を売却するにはどのような手続きがあり、どれぐらいの時間がかかるのかご存知でしょうか。こちらではマレーシアの物件を売ろうと思ってから、現金として帰ってくるまでのプロセスについて解説したいと思います。

 

まず、最初に売却手続きのそれぞれのステップとなります。

マレーシアの物件売却は6か月から1年程度と、かなり長い期間がかかりますので、計画的に売却活動を開始されることをお勧めいたします。

日本と近しいところ、日本と異なるところをがわかりやすようにまとめておりますので、ぜひ、ご参照ください。

 

マレーシアでのコンドミニアム・不動産売却の3つのフェーズ

1.  買主探索フェーズ

ステップ1:売却価格を決定する

ステップ2:仲介会社に売却依頼する

ステップ3:仲介会社にて募集と内覧手配

 

2. 契約手続きフェーズ

ステップ4:買付申込書(Letter of Intent )へのサイン

ステップ5:手付金の受領

ステップ6:弁護士の選定と必要書類の受け渡し

ステップ7:売買契約書締結と契約代金の受領

 

3. 契約後決済フェーズ

ステップ8:(買主が外国人の場合)外国人が不動産を取得するための許可(State Authority Consent)

ステップ9:(買主がローンを利用する場合)ローン審査

ステップ10:決済・代金受取

 

フェーズ1:買主探索フェーズ

まず最初に買主をみつけてくる、買主探索フェーズからみていきましょう。

どれだけ早く買主を見つけることができるか?、どれだけ良い値段で買ってくれる買主を見つけることができるか重要なステップとなります。

 

ステップ1:コンドミニアム・不動産の売却価格の決定

よく「良い値段なら売るよ。」とおっしゃられるのを耳にしたりします。

まず、これでは売れない!と思ってください。

 

なぜでしょうか。

 

まず、良い値段が人によって異なるので、仲介会社や買主がいくらなら買えるのか想定がつきずらいです。

また、通常、ほかのオーナーからの売りたいお部屋がある中での、販売活動です。当然安い値段がついているお部屋から、興味がもたれることになります。

 

銀座でオフィスビルを持っている、駅前に庭付きの大きな戸建てを持っているというような、物件そのものに「希少性」がある場合とは別の話です。

皆様がお持ちの不動産がコンドミニアムであれば、同じコンドミニアム内で100件単位で売りたい物件があったりもします。その100件の中での競争となるので、価格を決めないことで、競争のスタートラインにもたたない。ということは避けるべきです。

現在、管理を委託されている会社や、当サイトのようなサービスを使い、現在のお値段を確認し、価格決定の参考としましょう。

 

 

ステップ2:仲介会社へ売却依頼

現在、管理を委託されている会社があるのであれば、その会社が売却もお手伝いしてくれるはずです。そこで確認して頂きたいのが、管理会社からどのぐらいの仲介会社と連携しているかという点です。

管理会社の中には仲介手数料を他の仲介会社と分けることをしたくないので、管理会社への直接の問い合わせ客にしか、紹介していないというところもあります。連携している仲介会社が一概に多ければ良いということでもないのですが、複数の仲介会社と連携をしている会社に売却依頼をだされるのが良いと思います。

また少し手数料は高くなりますが、管理会社には管理会社への事務手数料、仲介会社には仲介手数料とわけてお支払いをすることを、事前に約束することで、管理会社が積極的に多くの仲介会社に情報を連携し、売却活動を積極的に行ってもらうという方法も検討できます。

 

ステップ3:仲介会社での募集手続き

こちらは一概にどの程度の時間がかかるかは、お話しすることが難しいです。設定した売却価格、その時のマーケットにより、1‐2か月で買主候補が見つかることもあれば、1年たってもさっぱりという場合もあります。

月に一度程度は、売却を依頼している会社に問い合わせや内覧の状況を確認し、価格を調整することも行った方がいいでしょう。

 

 

フェーズ2:コンドミニアム・不動産の売却契約手続き

次に具体的な買主候補がみつかった後の契約手続きについてみていきたいと思います。

日本でも契約までいったが、買主が資金を用意できずに、取引が流れてしまったということ、不動産に不具合があり決済後に問題になるといったこと、もあったりします。こちらでは、そのような場合トラブルを避けるため、重要なプロセスになります。

 

ステップ4:買主からの買付申込書

買主候補が見つかると仲介会社から、 Letter of Intent (買付申込書兼売渡証明書、通称、LOI)という書面が送られてきます。買主候補がこの金額で購入したいという希望の申し入れと、売主からのその価格で売却します。という簡単なお約束の書面になります。パスポート番号と署名をして送り返すのですが、ここで確認しておきたいのは以下のような点です。

・(当然ですが)価格

・売買代金を支払うことができそうな人かどうか(ローンでの調達含め)

・手付金の金額(通常、売買代金の2‐3%)

・売買契約に至らない場合の手付金の返金条件(通常、手付金は100%没収できます)

・ローン特約(買主がローンを受けられない場合の無償解除特約)の有無(売買契約前であれば無償解除もありえます。)

・取引にかかる税金の負担(マレーシアでは通常買主負担)

・買主候補の国籍(ステップ8で後述しますが、マレーシア人でない場合には、3-6か月ほど売却手続きが長引きます)

また、通常、LOIとともに仲介会社との媒介契約にもサインをすることになりますので、

・仲介手数料の料率と金額

・売買契約に至らない場合の料率と金額(ステップ5で後述します。)

・仲介手数料の支払い時期

も確認してください。

マレーシアでは、仲介会社の役割は買主を見つけ、売買契約を締結するまでで99%終わってしまいます。(日本では決済までしっかりフォローしてくれるのが当たり前ですが)そのため、仲介手数料も売買契約締結時に全額支払いとなっているのが通常です。

 

ステップ5:手付金の受領

手付金の受領といっても、現金が売主の手元に振り込まれることはまずありません。こちらは仲介会社が代理で受領し、売買契約締結まで仲介会社で預かり、売買契約締結時に仲介会社が手数料として回収してしまうのが通常です。

 

売買契約に至らず、売却の話が流れてしまう場合、買主候補からは手付金を100%没収できるのが通常ですが、仲介会社もLOIの締結までで一定の仕事をしたのでということで、仲介手数料を請求されます。募集した手付金が、途中で流れてしまった契約の仲介手数料として消えてしまっては、仲介会社だけが得してしまいますので、せめて没収する手付金のは50%は売主、50%は仲介会社の手数料といったあたりで、約束をしておきましょう。

大事なのはステップ4でLOIにサインをする前に、確認・協議、そしてサインをすることです。話が流れてしまったとき、手付金は仲介会社の手元にありますので、その時点から交渉するのは難易度が高くなります。

 

ステップ6:弁護士の選定と書類の受け渡し

弁護士といっても、日本でいう司法書士のような先生になります。弁護士に売買契約書を作成してもらい、決済までフォローアップをしてもらうことなります。

 

弁護士は売買代金の1%程度の手数料がかかります。なるべく節約したいという方には、買主が選定する弁護士に「双方」代理をお願いするという方法もあります。日本円で10万円程度の事務手数料と実費だけで済ませることができます。

ただ、よほど英語と不動産回りの契約関係に詳しい方でないとお勧めできません。弁護士は、より多くの手数料をもらう買主有利の契約条件で段取りを進めますので、それに対して、1つ1つ自分で交渉をしなければいけなくなります。

 

弁護士は通常、仲介会社がいつも使っている弁護士事務所を紹介してくれます。手数料が法外に高くない場合には断ることもないかとは思うのですが、仲介会社にどの程度、その事務所と付き合いがあるのかは確認しておいても良いかもしれません。

 

書類の受け渡しですが、売買契約書を作成するにあたり、購入した際の売買契約書やローン契約書が必要となります。そんな何年も前の書類は保管していない。。という方もいらっしゃると思います。失くしてしまった方は、購入したデベロッパー(売主)に聞いてみましょう。だいたいのデベロッパーは、ちゃんと保管をしてくれています。デベロッパーへの問い合わせも、仲介会社や弁護士が代行してくれることがほとんどです。

 

ステップ7:売買契約の締結と契約代金の受領

弁護士に書類を渡してから、契約書作成まで1か月ぐらいかかるのが通常です。

売買契約書サイン前に確認したいのは、LOI締結時に確認した内容に加え以下のような点となります。

・解約条件(通常は契約金の放棄、売主は契約金の倍返しで解除可能)

・瑕疵担保責任(何か壊れたいた、数か月後に何か破損した場合のお約束。できれば「なし」で押し通したいところです)

 

売買契約書のサインですが、残念ながらどこでもできるわけではないのがマレーシアの大変なところです。

・マレーシア国内でのサイン

・もしくは、在日マレーシア大使館に本人がでむいてのサイン&認証手続き

売買契約書のサインだけのために、わざわざマレーシアに行くのもと思っても、半日ほどかけてマレーシア大使館で待つ必要があります。地方にお住まいの方は、そのために東京へ出向く必要があります。

買主が外国人(マレーシア人でない)の場合には、相手方も同じ手続きが必要となるため、契約書にサインをいれるだけでも、一苦労となります。

 

また、売買契約書へのサインと並行して、契約代金、通常、売買代金の10%の受領も行います。こちらは弁護士が代行して買主から受領してくれます。

この10%は手付金として受領している2‐3%を含む10%となりますため、このタイミングでの受け渡しは7‐8%となります。この7‐8%のうち、売却益課税の源泉徴収として、2%が税務署に納められます。手付金はそのまま仲介会社が仲介手数料として受領します。

結果、手元に戻ってくるのは仲介手数料(2‐3%)及び売却課税の源泉徴収(2%)を差し引いた5‐6%のみとなりますす。

もし、損失をだしての売却の場合には、売却課税の源泉徴収はできる限り避けましょう。詳しくは「マレーシアでのコンドミアム投資 | 不動産の売却収入と税金」をご参照ください。

 

フェーズ3:コンドミニアム・不動産の契約後・決済フェーズ

以上までで、契約を締結するところまで完了しました。

ここまで来ると基本的には、何も問題ないことを祈りつつ、待つだけのフェーズとなります。月に1-2回、担当の管理会社や仲介会社に状況を確認すると良いでしょう。

 

ステップ8:(買主が外国人の場合)外国人が不動産を取得するための許可( State Authority Consent )

買主が外国人の場合、時間がかかるのがこちらです。数百件の取引を仕事を通じてかかわりましたが、対象がコンドミニアムであれば許可がおりないということは、まずありません。

ただただ、時間がかかります。通常3‐6か月ほど。さらに、売買の停止条件となっているため、許可が遅いからといって、買主を急かすわけにも、解除をすることもできません。

買主側の弁護士が対応するため、売主として必要な作業は「待つ」のみです。

できれば、買主がローンを利用する場合には、ローンの申請が済んでいるか、ローンの承認はおりているかといった点は、この期間に確認しておいても良いかもしれません。

 

ステップ9:(買主がローンを利用する場合)ローン審査

ステップ8と並行して進めることもできるのですが、買主が思ったようにローンの申請が進んでいない場合など、さらに待ち時間がかかります。

通常の契約書ですと、ステップ8の許可から3か月間は、決済まで買主に与えられた時間となっていますので、さらに3か月間待たされることがあります。

契約書作成で1‐2か月、ステップ8とステップ9で約半年と長い時間をかけてきたにもかかわらず、資金調達できませんでした。ということで、実質、売買代金の5%しか受領することができず、契約が解除となってしまうこともあります。

なかなか難しいところではあるのですが、LOI締結時に、本当に物件を購入することができそうな方かどうかは確認をしておきたいところです。

無事に買主が資金調達が済みますと、最後の代金決済のステップに進みます。

 

ステップ10:決済・代金受取

買主での資金準備が整うと、物件の名義変更と代金受取、ローンを借りていた方は、ローンの返済と抵当権の抹消手続きがはじまります。こちらはすべて弁護士任せとなりますため、売主として何かすることはありません。

資金準備さえ済ませてもらえれば、このステップで時間がかかることはまずありません。

これでやっと無事にマレーシアの物件の売却手続きが完了しました!

 

まとめ マレーシアのコンドミニアム・不動産を売却するにあっての所要期間

かなり説明も長文になってしまいましたが、マレーシアの不動産売却にあたっては、他の国と比べても長い時間と、多くの手間が発生いたします。

売却にかかる期間ですが、きちんとした期間を提示するのは難しいのですが、6か月から9か月ぐらいはかかると思っていただいた方が良いかと思います。

最速パターン:

マレーシア人・現金購入→2週間ぐらいで完結することも

最長パターン:

外国人・ローン利用・契約手続きもだらだらと・・・→1年ぐらいかかることも

 

長い間待たされたあげく、決済されない!、買主からクレーム!といったトラブルを避けるためにも、売却を依頼する管理会社・仲介会社はしっかりと選んでから活動をスタートして頂きたいと思います。

 

マレーシアの売却収支に関する税金は「マレーシアでのコンドミアム投資 | 不動産の売却収入と税金」をご参照ください。