カンボジアで不動産投資 | 関連する不動産規制と相場観

今回はカンボジアにて外国人がどような不動産を購入することができるのか、また相場観と、購入のプロセス、注意点を解説いたします。日本や他の東南アジアとの違いはどういった点があるのか比較してご説明いたします。

 

カンボジアの不動産関連規制

まず初めに、外国人が不動産を所有するにあたっての一般的な法令をご説明いたします。

・外国人、外国企業は土地を所有がすることができない。

・アパートやコンドミニアムなど、集合住宅の2階以上の上層階部分について、外国企業または個人の所有が認められている。

・該当物件の総占有面積70%が所有の上限とされている。(例えば、総占有面積1,000㎡の建物であれば700㎡までしか外国人が占有できない。)

・登記手続きをしなければ所有権は認められない。

※外国企業とは、日本の法人及び、日本の法人・日本人が100%出資をして作ったカンボジア法人も含みます。

 

フィリピンやタイのルールに比べると、外国人が70%まで所有することができるので、少し緩やかな規制となっています。まだまだ外国からの投資を積極的に呼び込みたいという現れでしょうか。また、コンドミニアムの1階は土地にくっついているから、外国人は所有が認められないというのも、ほかの国にはないルールです。

 

 

物件ご購入の流れ

次に物件の購入の流れを順においながらご説明していきたいと思います。

・物件探索フェーズ

・契約手続きフェーズ

ステップ1:買付申込書

ステップ2:お申込金の送金

ステップ3:売買契約締結と契約代金お支払い

・お支払いフェーズ

ステップ4:残代金お支払い方法

 

物件探索フェーズ

日本国内で不動産を購入される流れと、ほとんど近い手続きになるかと思いますので、簡単にご説明いたします。

予算設定

カンボジアの首都プノンペンを例にご説明すると、エリアによって価格設定が異なります。居住エリアの一等地、商業の中心地、これから開発が進む新興エリア、どちらに投資をされたいかでも価格が異なりますので、まずはご希望エリアの相場がいくらなのかご確認ください。

プノンペン中心部で投資をする際のおおよその価格帯はStudioタイプ(1Room)で約1,000万円から1,500万円程、1Bedタイプ(1LDK)は約1,500から2,500万円程になります。投資としてはこのStudioタイプと1Bedタイプが最も人気です。居住用として人気のあるタイプは2Bed タイプ、約2,000万円から3,000万円、3Bedタイプ、約2,500万円から3,000万円と続きます。お広さの感覚としてはStudioで約30㎡から40㎡、1Bedタイプで40から60㎡、2Bedタイプで60㎡から80㎡、3Bedタイプで80㎡から120㎡といったところです。

もちろん前途したようにプノンペン の中でも人気のエリアやクオリティにより、価格設定が異なりますが、上記は外国人に賃貸することを前提として作られているコンドミニアムの相場観となります。

 

仲介業者に依頼

カンボジアでは日本とは違い、まだまだ仲介業者の母数は少なく、個人で仲介業をされているやられている方も少なくありません。よくカンボジアで不動産詐欺にあったなど耳にされることもあると思いますが、仲介業者選びは、ちゃんと会社が存在しているのか、実績(取り扱い件数や、販売実績の確認)はあるのかといった点を、仲介会社のwebサイトや、会社案内など、何社か比較してみていただくと良いかと思います。

 

物件の視察

ご購入されている方の中には、カンボジアへの渡航、物件の視察なしで、購入されている方もいらっしゃいますが、不動産は立地が命、できる限り時間をとって、物件現地だけでなく、街の様子も含めて視察をされる方が良いと思います。

 

契約手続きフェーズ

では良い物件が見つかり、実際にご購入に進む場合、どのような手順で進んでいくのか、コンドミニアムを購入する場合について、解説いたします。こちらは日本とは異なる考え方もございますので、その点も踏まえてご説明いたします。

 

ステップ1:買付申込書の提出

こちらは単なる購入の意思確認と思ってください。

日本であれば買付申込書を提出すれば、そのお部屋、物件を買うことができることが確定すると思われるかもしれませんが、カンボジアにおいては、購入意思を表示する単なる意思確認と捉えていただいた方が良いかと思います。数日間は他の人には売らずに待っていてくれるかもしれませんが、申し込みだけでは確約はありません。人気の物件であれば、売主は他の方に販売してしまうこともあります。

 

ステップ2:お申込金の送金

本手続きを持って実際にその物件を購入できることが確定します。
日本でいうお手付金の一部とお考え下さい。一般的には買付申込書提出の当日から3日以内に送金するとしている売主、デベロッパーがが多いです。

 

ステップ3:売買契約締結と契約代金のお支払い

売主にて申込金の着金確認が取れましたら、売買契約書の作成に移ります。カンボジアでもSales and Purchase Agreementの略でSPAと呼ばれています。
作成は大体2、3日で完了します。契約書は基本的に英語がほとんどですが、カンボジア人向けの物件であればクメール語でしか作成されないこともあります。SPAの内容については、仲介会社にも説明をしてもらいながら、1つ1つ確認をされてください。

内容が問題ないようでしたら署名と「拇印」を押します。カンボジアでの署名は全て青ペンで行います。(どうもコピーと原本が混同しないようにする為とのことです。誤って黒ペンで署名してしまった場合は、やり直しとなることが多いため注意が必要です。)

契約書の署名時は特に大使館に出向いたりする必要はございませんが、売主によっては売主の弁護士が署名と拇印をする作業に立ち会います。日本で手続きする際は、オンライン通話などを利用して行うことが一般的です。

契約書は一度売主にすべて返送し、売主の署名をいただき、完成された契約書が後日お手元に1部届きます。

契約代金のお支払いに関して、請求書が別で作成されている場合もあれば、契約書に記載されている場合もございます。ほとんどの売主は物件代金の約10%を契約時に支払う必要があります。そちらを銀行に持参し、送金手続きを行います。昨今、日本の銀行の海外送金に対する確認は厳しくなっており、できましたら契約書類や請求書だけでなく、購入された物件のパンフレットなども持参されることをお勧めいたします。送金手続きに関しては大手銀行の方がスムーズに行っているケースが多い為、特別な理由がない限り大手銀行からの送金が望ましいかと思います。

 

契約書のサインについては、東南アジアといっても、国よって慣習が違います。マレーシアは青でダメということはないですが、黒ペンでサインすることが一般的、タイは青でないといけないということはないのでしょうが、契約書類特に役所に提出するものは青ペンを使います。フィリピンでは、ボールペンの色にうるさく言われた記憶はありませんが、一般的には黒を使っていることが多いです。

一番大変なのがベトナム。カンボジアと同様、黒ペンでサインをするとやり直しを命じられます。さらに、サインはベトナム国内でするといった制約もあるので、万が一ベトナムに渡航、間違って黒ペンでサインをした際には、再度ベトナムに渡航する必要まででてきてしまいます。。

 

お支払いフェーズ

買主・売主の両名の署名がなされた完成した契約書が届き次第、残代金のお支払いフェーズへと移ります。
こちらは物件の建築状況によりいくつかお支払い方法の選択肢がございます。日本との違いは、決済時(物件のお引き渡し時)のお支払いではなく、建築中にも支払いが発生することです。

 

物件が完成している場合

契約完了から1ヶ月以内の支払いが一般的です。ローンの審査があるなど事情を考慮したローン特約が設定されていることはまずありません。購入決定前に支払い条件は確認をしておきましょう。売主によっては融通を聞かせてくれるところもあるかもしれませんが、お支払い期日が過ぎてしまう場合、一般的に遅延損害金が発生してしまいます。

 

物件が未完成の場合

一括払い、分割払いの選択が可能です。
一括払いの場合は、一般的に契約から1ヶ月後になります。
分割払いのパターンに関しては売主により異なる為、都度ご確認ください。

中にはお支払いの方法により、割引特典がつく場合があります。(例:一括払い10%引き、2階払い5%引きなど。)

一括払い払いをすると、大きな割引を受けることができますが、売主のデベロッパー、工事の進捗によっては、コンドミニアムが完成しないリスクを負うことになりますので、よく検討したうえで、お支払い方法を選択するようにしてください。

 

また、国内不動産においては購入意思を提示する前に価格交渉などもみられますが、カンボジアの売主は価格交渉イコール購入前提で話を進めますので、実際に現地に見学に行った際の気軽な交渉は、トラブルのもとになりますのでお気を付けください。