マレーシア コンドミニアム売れ残り問題

マレーシアのコンドミニアムの売れ残りに関するニュースをお伝えさせて頂きます。売れ残りのコンドミニアムが発生している理由について、まとめられているため、今後の投資への参考、売却を考えられている方は、売れ残りユニットも競合となるため、参考になるかと考えております。

 

マレーシア コンドミニアム売れ残り問題

政府と不動産業者は、毎年その数が膨れ上がっている売れ残り不動産物件、特にサービス付きアパートメントについて、問題解決法を真剣に検討する必要にせまられています。

 

売れ残りの中心はSOHO?!

SOHOとは商業用地に建てられている、小規模オフィスやホームオフィスとして商業用不動産に分類されているものを呼びます。ただし、これらの物件は現実には、住宅として使用されるため、分析上では売れ残り住宅の一部と見なされます。不動産の専​​門家によると、SOHOをはじめとしたサービスアパートメントは、戸数ベースで商業用売れ残り物件全体の72%を占めています。

2010年から2020年上半期にかけて、サービスアパートメントの売れ残りはわずか380戸から21,683戸に、つまり5,602%も増加しました。

 

建築規制が異なるSOHOとコンドミニアム

住宅用地に建てられる分譲マンションよりも、商業用地にサービスアパートメントを建てる方が儲かるため、不動産業者が商業用地にSOHO、サービスアパートメントの開発を続けてきました。
これが、10年間で5,500%を超える増加の大きな理由と考えられています。シティバリュアーズのディレクターであるCYLim氏によると、お手頃な購入価格になるように、サービス付きアパートメントは通常400 平方フィートから800平方フィートの単位で販売されています。

商業用地でのサービスアパートメント開発は、容積率を用いた建築物の規制となります。一方、住宅用地に建設される分譲マンションは人口密度による規制が適用されます。容積率に基づくプロジェクトと人口密度に基づき規制されるプロジェクトには、出来上がる建物に大きな違いが発生します。

 

商業用地での建設の場合

不動産業者が1エーカーの商業用地(43,560平方フィート)を購入し、地方自治体から10の容積率を取得した場合、開発者はその10倍、つまり435,600平方フィートを建設できます。排水と歩道のスペースを差し引いた後、それは 435,600平方フィートの最大20%になる可能性がありますが、結局348,480平方フィートが残ります、つまり約350,000平方フィートということです。

もし1戸当たり600平方フィートのサービスアパートメントを建設する場合、最大580ユニットを建設することができます。

 

住宅用地での建設の場合

一方、マンションは1エーカーあたりの居住人数に応じて建てられます。

マレーシアでは、1世帯は4人家族と想定されています。市役所は、1エーカーあたり最大400人の密度の制限を設定しています。

4人家族を想定すると、1エーカーに建設できるユニット数は100戸となります。を意味します。

つまり、1エーカーの住宅用地では、業者は最大100戸の分譲マンションしか建設できないのに対し、サービス付きアパートメントは580戸もか建設できるとLim氏は説明します

 

コンドミニアムの売れ残りの原因分析

Rahim&Coの調査責任者であるSulaiman Saheh氏による”2020年の不動産市場の見通し”において、マレーシアの住宅用不動産市場について以下の分析があります。
コロナ禍を越えての売れ残り物件の詳細分析おいて、以下3カテゴリに分類しました。

1.工事完了・居住可能と政府から認定されているが、未販売の物件。不動産用語では、「overhang」(売れ残り物件)

2.いまだ建設中、購入者待ち物件

3.まだ建設/販売されていない物件。高層物件プロジェクトでは、低層階が建設中である可能性があり、高層階は建設/販売されていないもの。

Sulaiman氏の調査期間は2016年から2020年6月30日です。

レポートによると、最後の2つのカテゴリーの増加は落ち着いてきているが、カテゴリー1はまだまだ上昇し続けていると言います。

 

カテゴリー1.に属する物件はすぐに引っ越し可能な物件であり、購入者は家の状態を確認できます。それにもかかわらず、まだは売れ残ってしまっているのです。

理由はどのようなところにあるのでしょうか。

 

Sulaiman氏はそれらを「販売困難売れ残り物件」と呼んで、以下のさまざまな理由で、それらの商品価値が低いと述べています。

・公共交通機関から遠すぎる

・価格が高すぎる

・品質の問題

彼は、売れ残り物件数は増え続けているので、政府による売れ残り数削減措置は失敗したと考えており、「たぶん、販売ブロック全体を再設計する必要があります。または、それらをより低い賃料で、賃貸案件に変えるべきだ。」と彼は言います。

 

また、NapicのディレクターであるAina Edayu Ahmad氏は、物件詳細、価格設定、プロジェクト、ロケーション、マレー人向け割り当て戸数、開発に関わった業者名を公表することで、その数を減らすことができると述べています。

しかし、Aina氏は、ナピックの提案は業者には不評だったと言います。

「データ共有と情報の機密性に関していくつかの問題がありました。」とAina氏は言います。彼女は情報開示が解決の鍵だと感じています。

住宅は高額なものであり、不動産開発には資金調達が伴うため、マレーシア国立銀行の支援も必要だとAina氏は言います。

中央銀行は、金融問題を監督する立場にあるため、より高い権限を持ち、増大する売れ残り件数問題とその解決策を、より高いレベルで検討する義務を負っています。

ある筋によると、マレーシア国立銀行は、必要な支援と協力の形態について正式な連絡を受けていないが、不動産と資金調達についての関連性については認めています。

2017年、中央銀行は、「手頃な価格の住宅:課題と今後の方向性」という論文で、悪化した住宅市場を回復するための5つのアプローチを提案しました。

1.手頃な価格の住宅供給の一元化

2.統合住宅データベース構築と手頃な価格の住宅割り当てへの登録方法の確立

3.住宅のコスト低減

4.金融リテラシーの強化

5.賃貸市場の構造改革

依然これらの施策は進行中です。

 

まとめ

こちらの記事は以下のThe Star Malaysiaの記事を参考に作成いたしました。
https://www.thestar.com.my/business/business-news/2020/10/31/an-unwanted-problem-of-unsold-units

KL・セラゴールの中心部において、たしかに総額を抑えるために、小さな区画で設計されたプロジェクトの売れ残りが目立つように感じます。2013年以降、100万rm以下の物件について、外国人の購入制限を設定したことも関係しているかもしれません。この規制はマレーシア人が居住用に利用する住宅の価格が外国人の投資により、異常な価格に上昇しないようにと設定された規制になりますが、エリアや用途を踏まえての規制とすることでも、中心部の売れ残りの一部を解消できるかもしれません。