マレーシアでの不動産投資と会社設立
タイでの不動産投資に有利になる会社設立の方法をみてみましたので、今回はマレーシアの一般的な会社の作り方と、不動産投資において会社を作るメリット、デメリットを確認していきたいと思います。
このページの目次
マレーシアで会社を作るメリット
まずは不動産投資に関連して会社を作るメリットから確認いたします。
税率が法人の方が低い
マレーシアの所得税率は累進課税の最高税率で30%、法人税率は25%となっています(規模の小さな法人は20%の税率適用もあり)。特にマレーシア国外に居住している外国人は、マレーシア国内の所得は累進課税ではなく最高税率が課せられてしまうため、法人で課税所得を申告した方が納税額は少なくて済みます。「国外に居住」とは単純に日数で182日以上マレーシア国内に滞在していないケースを呼びます。マレーシアに投資として不動産をお持ちの方の多くの方は、マレーシアに長期で滞在していることはないと思いますので、法人税率の方が低くなります。
口座を作ることができる
会社を作ることで、会社名義の口座を作ることは当然できますが、マレーシアの物件をお持ちの方はそもそもマレーシアの国内銀行からのローンを利用して、購入されている方が多いと思われます。ローンの元金や金利支払いのために、銀行口座をお持ちの方がほとんどかと思いますので、特段、口座が作ることができるようになるというメリットはなさそうです。
税務上、費用計上が可能になる
個人名義で不動産を保有していても、コンドミニアムの維持管理に必要となる経費が損金として税務上、計上できるため、法人を設立することが課税所得の削減には直接はつながりません。
ビザの取得が可能になる
会社を設立することで、その会社から就労ビザを発給することはできます。ただ、マレーシアの場合、一定の収入、資産をお持ちの方であれば、MM2Hビザという制度があります。MM2Hビザの更新は10年に一度、就労ビザは最長5年となっていることもあり、ビザ取得を目的として、会社を設立するメリットはないように思います。
マレーシアで会社を作るデメリット
次はデメリットについてご紹介させて頂きます。
会計費用が必要
マレーシアでは会社の規模に関わらず、会計監査を受ける必要があります。その結果、どうしても税理士、会計士といった方に依頼をすうる必要がでてきてしまい、会計費用が発生してしまいます。会社の規模にもよりますが、一番安い金額帯で、毎月1万円ぐらいからと、年度末に20万円ぐらいが目安になります。
翌年の利益予想を提出
特にデメリットではないのですが、マレーシアでは翌年の利益を予想して税務署に提出しなければいけないという制度があります。また、その予測よりも30%以上乖離があると、ペナルティもかかるという、日本ではなかなか想像できない制度です。年半ばで予想修正をすることはできるので、大きく外れてしまうことは多くはないのですが、そのような変わった制度があるということだけ、ご紹介させて頂きました。
マレーシアでの会社の設立方法
以上で会社を作った方が良いと思われる方は少ないと思うのですが、マレーシア法人の設立にあたってのステップ、必要事項などまとめておきます。
マレーシア法人に関する基本的なルール
以下で詳しくみていきますが、基本的なルールは以下のようになります。
・会社名は類似商号の有無を確認し、希望の名前で登記が可能
・株主は1人以上
・株主は特定の業種でなければ、外国人100%での設立が認められる(不動産投資であれば100%外国人株主可能)
・取締役は1人以上(外国人のみでも可能)
・マレーシア国内に居住する取締役が1名は必要
・会社の登記をする本社所在地の住所が必要
会社を作るために必要なもの
会社を作るうえで、検討や準備が必要なところにつきもう少し詳しく見ていきたいと思います。株主が外国人だけで良いというのは、タイやフィリピンに比べパートナー探しで苦労することがなく、会社設立が簡易に進めることができます。
・マレーシア国内に居住する取締役が1名は必要
取締役は1人以上、そのうち1人はマレーシア国内に居住している必要があります。わかりやすくいうと、日本で生活されている方がマレーシア法人を設立しようとすると、マレーシア国内に居住する人(マレーシア人もしくは、外国人でもOK)を1人取締役として選任する必要があるということです。
この点、取締役の方が契約へのサイン権や、銀行預金の引き出しができてしまうので、実は株主よりも人選が難しいところです。サイン権限を共同サインでしか契約行為、銀行の引き出しができなようにするなど、1つ1つ丁寧に権利を制限する必要があります。
ちなみに、マレーシアに居住する人とは、マレーシア人もしくはビザをもって滞在している外国人を指しているのだと思われますが、携帯電話の請求書や銀行の明細が住所証明書として仕えてしまうため、実務上は(そんなに古くない)過去、マレーシアに居住していた人でも足りてしまったりします。
・会社を登記する住所
こちらは取締役に比べ、難しい問題ではありませんが、住所を決める必要があります。実際にスタッフを雇ったりすることを想定していない方も多いでしょうから、その場合には以下のようなサービスオフィス、バーチャルオフィスといった形で会社の住所を貸してくれるサービスをしておりますので、そのようなサービスを利用することになるかと思います。
(参考)
・Regus http://www.regus.com.my
世界的なシェアオフィス、バーチャルオフィスの運営会社です。
・Sentro https://www.sentro.asia/
マレーシアで初の日系サービスオフィスの運営会社です。KLIA(空港)からのエクスプレスでのターミナル駅KL Sentral近くにあるため便利な立地になります。
こちらも上記と同様、住所が記載のある銀行のステイトメントで足りてしまったりもするため、必ずしも必要なものではないケースもあります。
まとめ
正直、不動産投資だけでは、会社設立の意義は感じませんが、会社設立の方法を見て参りました。なかなかご自身で手続きをするのは難しいため、専門家に相談したうえで手続きを行うことをお勧めいたします。
当サイトの運営会社でも、会社設立サービスは承っておりますので、よろしければ下記リンクもご参照ください。
■Take Up Consulting Co., Ltd
https://takeup-consulting.com
不動産投資のコンサルティングを17年間、そのうち、7年間はタイ・マレーシア・フィリピンを中心に東南アジアを飛び回り、投資コンサルティング及び運用アドバイスに7年間携わって参りました。本サイトではその経験と、最新情報から皆様の東南アジア不動産投資に有用な情報を提供していきたいと考えております。