2020年を通し苦境に立ったバンコク商業用不動産市場
2020年のバンコク商業不動産市況を振り返える記事がありましたのでご紹介させて頂きます。
低迷するバンコクの商業不動産市況
今年1年間、タイの不動産業者は、Covid-19のパンデミックによる、政府のロックダウンと各種の制限措置の影響を回避する試みを続けてきました。
実際、タイの商業用不動産市場には大きな変化が起こっています。
CBREリサーチの報告によると、バンコクのオフィス市場はネットでの上昇指数に大きな変化を受けました、すなわち小売市場の消費者信頼指数の低下や、ホテル市場でのキャッシュフローの維持の困難さなどです。
コロナによるバンコクロックダウンの不動産市況への影響
商業不動産をオフィス、小売り、ホテルとわけて、詳細をみていきたいと思います。
オフィススペース
最初のロックダウンの4月と5月に、在宅勤務を企業が実施することで、Covid-19パンデミック期間中のソーシャルディスタンスの社会への浸透具合が変わっただけでなく、遠隔でも効果的に働けることが、企業及び従業員に示されました。
現在、多くの企業が働く場所について戦略を再検討しており、一部の企業は社内各部門の勤務形態や勤務地をすでに変更し始めています。
企業への資金繰り等の財政的圧力と相まって、特にテナントが資金繰りの悪化に敏感に反応するGrade B Non-CBD地区では、多くのテナントによる賃借物件の広さの縮小をもたらしました。
また、一部のテナントは、ロックダウンによりオフィスの整備が開始できなかったため、新しいオフィス場所へ移動できませんでした。
CBRE Researchによると、2020年の最初の9か月で、純占有量が昨年の同時期の128,000平方メートルと比較して21,000平方メートル増加しました。
ただし、CBRE Researchは、事務所スペースへの需要が2倍になったeコマースやテクノロジー関連などの成長企業でオフィスのプレリースが見られたことも報告しました。
バンコクのオフィス市場の全体的な占有率は91.1%とわずかに低下しましたが、今年最高のパフォーマンスを示したセグメントは、総供給量がわずか674,000平方メートルで、市場の総供給量の7.4%に相当するGrade A Non-CBDです 。
大規模移動手段の拡大と都市開発により、CBDの場所に比べて賃料がはるかに低いNon-CBD の場所にある高品質の建物の魅力が高まっています。
小売り業
買い物客の購買力の低下により、タイの小売業界は低迷しました。消費者信頼指数も2020年4月に過去20年間で最低の47.2に低下しまし、その後数ヶ月で回復しましたが、それはまだCovid-19以前のレベルまでは遠い状況です。企業の経営悪化と経済的負担の増大により、2020年第2四半期の家計債務はGDP全体の83.8%であり、昨年の78.9%から増加しました。
CBRE Researchの報告によると、2020年第3四半期のバンコクの小売業向け供給量は合計780万平方メートルで前年比2.4%増加しました。今年最大の開発のスワンナプーム空港近くのサイアムプレミアムアウトレットの10万平方メートルの小売スペースと、12の新しい小売関連スペースの影響によるものです。
市場全体の稼働率は96%と高いままでしたが、CBREリサーチによると、ミッドタウンや郊外のように地元の人々の需要がある地区よりも、観光客からの需要に依存するバンコクの繁華街での小売地区開発に減少が見られます。
小売業界がCovid-19からどれだけ早く回復できるかは、いつ海外旅行の制限が解除されるかという点と、「Kon-La-Khrueng」(Let’s Go Halfs)や「Rao-Tiew-Duay-Gun」(We Travel Together)などの政府からの景気刺激策がどれほど効果的かによって、大きく異なるでしょう。特にバンコクの小売業スペースの量は、長期的には内需だけでは維持できません。
ホテル業
タイ経済を牽引する主要セクターの1つである観光業は、第2四半期以降に海外旅行者によるインバウンド重要がなかったため、今年は大きな打撃を受けました。 2020年の最初の9か月間の総観光客数は、昨年の同時期のほぼ3,000万人に対し、わずか670万人でした。その670万人のうち、大多数は国境閉鎖前の第1四半期のものです。
バンコクのホテルは、国境閉鎖後、4月に平均占有率が6.7%まで低下しましたが、「ステイケーション」旅行のみの貢献により、第3四半期にはわずかに13.7%まで回復しました。 6月にロックダウン措置が解除され、ホテルの営業再開が認められたものの、海外旅行規制が引き続き実施されており、市場に大きな改善の兆しは見られませんでした。
一部のホテルは大幅に割引された価格で部分的に開業することを決定しましたが、一部のホテルはキャッシュフローを維持するため、ある程度の収益を生み出すためのF&Bアウトレットのみを運営しています。一部のホテル所有者は、彼らが経験したことのない状況、9ヶ月以上観光客がいないシナリオに直面しています。 この状況により、一部では資産を売却せざるを得ませんでした。
2020年第3四半期の時点で、バンコクのホテルの総供給量は約50,000室で、今年はホテルの開業が限られていたため、前年比2.8%しか増加しませんでした。 発表された内容に基づいて、CBREリサーチは、2023年までにバンコクのホテル市場にはさらに9,200室が追加され、競争がさらに激化すると予測しています。
まとめ
本記事は以下の記事を参考に作成させて頂きました。
https://thethaiger.com/news/bangkok/bangkoks-commercial-property-market-struggles-through-2020
どの国にも共通する点かと思いますが、コロナウィルス感染拡大により外出が規制される中、店舗を中心とした商業不動産には大きな影響がでています。
また、もともと外国人観光客が多く、その需要を狙い建設されたホテルもバンコクは多いことから、それらのホテルも大きなダメージを受けています。中には中途半端に営業を続けているよりは閉めてしまった方が赤字が少ないのか、休業をしているホテルも目立ちます。
オフィスについては、会社に出勤をすることを前提とした働き方から、在宅で仕事をするというスタイルがタイでも目立ってきています。働き方が変わると中心部のオフィスは、コロナ終息後も苦しい状態が続くかもしれません。
不動産投資のコンサルティングを17年間、そのうち、7年間はタイ・マレーシア・フィリピンを中心に東南アジアを飛び回り、投資コンサルティング及び運用アドバイスに7年間携わって参りました。本サイトではその経験と、最新情報から皆様の東南アジア不動産投資に有用な情報を提供していきたいと考えております。