タイに居住し所得税0%生活?!
今年になってから何人かの方から同じような話を聞くようになりました。タイに居住していると所得税が0%なのか?といった質問です。どうも有名なユーチューバーの方があげられていた動画がきっかけのようですが、本当なのか確認していきたいと思います。
このページの目次
タイの所得税は0%?
まずタイの所得税は0%ではありません。日本のように累進課税となっているため、所得が非常に少ない場合には課税されないということもありますが、日本人の日本での給与相当をタイ国内でもらう前提でお話しすると、30%近い所得税率になってしまうのが通常です。
なぜ、タイの所得税は0%なんて話がでてきたのでしょうか。
理由は、タイではタイ国外から生ずる所得であり、その所得をタイに持ち込まないことを条件として、課税しないというルールがあります。そのため、日本や東南アジアの香港、シンガポールといった他国で得る所得について、タイに持ち込まない限りにおいては課税をしません。ということになっています。そのことから、タイは所得税0%といったお話に発展したようです。
ユーチューバーの方の節税スキーム
私もそのYouTubeを見ての知識でしかないので、詳しくはわかりませんが、その方はメインの会社を香港に置き、香港の法人で売上を計上しているそうです。香港でも法人税の最高税率は16%と安いのですが、さらに香港法人からライセンス料や特許料といった名目で、タックスヘイブンに置いてある会社へ支払いを行い、香港でも実質法人税は納めていないそうです。タックスヘイブンの会社の株主は大手投資銀行が提供する信託スキームを利用し、タックスヘイブンの会社の株主ですらないとのことでした。
そして、タックスヘイブンにある会社からタイに住む自分に報酬を払い、法人税も、所得税も0%ということを実現しているそうです。
法人税 ~タックスヘイブン税制と移転価格税制~
ここまで読んで、安易に香港、シンガポールに会社を作ろう!と考えてしまうのは、早計です。現在の日本の会社のビジネスを残し、単純に香港やシンガポールの法人税が安い国の会社に費用や株主配当として払いだしても、移転価格税制やタックスヘイブン税制といった、安易な法人税、所得税、逃れを防止する法律にひっかかり、結局、日本法人と海外法人の所得を合算され、日本の法人税がかけられてしまうことになりかねません。
どちらの税制の趣旨に照らしても、単純に売上や利益を海外法人に付け替えることは許しません、実態として海外で事業を行っている会社でない限りにおいては、税金逃れとみなし、日本のルールに従い課税しますということになっています。
所得税 ~租税上の居住地について~
次は日本法人、海外法人からご自身への支払いへかかる所得税についてのお話となります。タイでは海外所得に対しては所得税が0%というメリットを享受するためには、どのようなことが必要なのでしょうか。
そのためには、租税上の居住地をタイに移す必要があります。租税上の居住地とは、日本国籍である皆様の祖国、日本と、今回話にあがっているタイの税法上の取り扱いにおいて、タイに住んでいます。と判断されることをいいます。
タイのルールでいいますと、年間180日以上タイに居住をしていることが条件となります。では、タイに180日以上滞在し、日本には年を通して半分日本にいなければいいのか?となると、そう簡単にはいきません。日本の税務署は滞在日数だけで居住地の判定をしてくれないのです。日本の税務署はできる限り、税金を日本で納めて欲しいため、色々な理屈を使い、実態は日本に住んでいるため、租税居住地は日本です。という主張をすることになります。
有名な理由でいうと、日本の会社の役員をしている、日本にいつでも戻ることができる家があり、家具もそのままおいている、さらには、帰ってきたときに使うために、成田空港に車が停めてあるといったものまであります。
ですので、租税居住地を日本から転出させるためには、日本での生活や仕事を継続しながらというわけにはいかないのが実態ではあります。
働き方が可能にするビジネスの海外移転と海外居住
以上より法人税も所得税も0%にするといったことは簡単なことではありません。少し前であれば、日本の生活や事業・仕事は辞められないし難しいと諦められた方が多かったと思います。
ただ、インターネットを利用したビジネスツールの発展から、コロナウィルスの影響もあり、リモートで働くことが自然な世の中になってきました。もしかすると、働き方を変えることで、会社もご自身の居住地も海外に移転させてしまうことができるような時代に変わってきているのかもしれません。
コロナウィルスを1つの機として、一度、海外への移住を検討してみるのも1つかもしれません。
タイに180日以上滞在するための居住ビザ
タイに180日以上滞在するためには、何度も往復しても良いのですが、ビザがあった方が何かと便利かと思います。本来、ビザを取得するためには家族(結婚など)、仕事、学校といった理由が必要ですが、タイではタイエリート会員という制度があり、居住ビザを購入することができます。
もしご興味がある方は下記のサイトで詳しく説明してありますので、よろしければご覧ください。
最後に
こちらの記事はユーチューバーの方が配信していた内容、背景をご説明させて頂いただけであり、安易な海外法人設立や、海外居住をお勧めしているわけではございません。税理士、会計士といった専門家や、必要に応じて税務署の指導も仰ぎながら、進めていくことをお勧めさせて頂きます。
不動産投資のコンサルティングを17年間、そのうち、7年間はタイ・マレーシア・フィリピンを中心に東南アジアを飛び回り、投資コンサルティング及び運用アドバイスに7年間携わって参りました。本サイトではその経験と、最新情報から皆様の東南アジア不動産投資に有用な情報を提供していきたいと考えております。