タイでの不動産投資と会社設立
本格的にバンコクで投資を増やしていきたい、思ったよりも長期間の投資になってきたので、個人名義ではなく、会社を設立して会社の名義に切り替えたい、移住も考えたいのでビザをとりたい。このような場合、タイに会社を作ることを検討される方もいらっしゃるかもしれません。
今回は一般的な会社の作り方と、不動産投資において会社を作るメリット、デメリットを確認していきたいと思います。
このページの目次
タイで会社を作るメリット
まずは不動産投資に関連して会社を作るメリットから確認いたします。
口座を作ることができる
コンドミニアムを保有しているが、タイに銀行口座をお持ちでない方もいらっしゃるかと思います。ご自身で保有するコンドミニアムの登記簿と必要書類をもっていくと、口座を開いてくれる支店もまだありますが、日に日に滞在許可(ビザ)をもっていない外国人が銀行口座の開設をすることが難しくなってきています。
タイに会社を作ることで、タイにご自身の会社名義の口座を作ることができるのは1つのメリットかと考えられます。
税率が法人の方が低い可能性がある
課税所得の金額により異なりますが、所得が一定レベルを超えると法人税率の方が安くなります。(法人税最高税率:20%、所得税最高税率:35%)不動産を複数保有し、タイで一定以上の収入がある場合には法人名義に切り替えることで、支払う所得税を減らすことが可能です。
税務上、費用計上が可能になる
個人名義で不動産を保有していても、コンドミニアムの維持管理に必要となる経費が損金として税務上、計上できません。会社名義でコンドミニアムを保有することによって、会社の経費として損金計上することができ、課税所得を減らすことができます。
損金の繰り越しが可能になる
少し細かい話になりますが、法人であれば一定期間の損金の繰り越しが可能です。投資をはじめた初年度はいろいろと費用がかかり赤字になってしまった場合、法人をお持ちであれば、その赤字分を翌年の利益と相殺することができます。個人名義で保有している場合には、赤字の年は税金を納める必要はありませんが、その赤字を翌年の所得と相殺させることはできません。
ビザの取得が可能になる
こちらは不動産投資と直接関連するメリットではありませんが、移住も含め検討したい、比較的長期間、タイに滞在することを考えているという方にとっては、会社を設立することで、ご自身に就労ビザをその会社から発給することができます。リタイヤメントビザなど、ほかのビザを利用する方法もありますので、上記の節税メリットと、下記の会社を作ることでのデメリットと比較しご検討いただき、その付随的なメリットとしてお考え頂ければと思います。
タイで会社を作るデメリット
次は会社を作った場合のデメリットを見ていきたいと思います。
毎月の税務申告が必要
タイの会社は日本と異なり、毎月の税務申告が必要となります。消費税に関するもの、源泉所得税に関するものの2つに大別され、何らかの収入を受けた場合、何らかの支払いがあった場合には、毎月の税務申告が必要となります。
会計費用が必要
毎月の税務申告、年度末には決算を締め監査を行う必要もあります。その結果、どうしても税理士、会計士といった方に依頼をすうる必要がでてきてしまい、会計費用が発生してしまいます。会社の規模にもよりますが、一番安い金額帯で、毎月1万円ぐらいからと、年度末に10‐15万円ぐらいが目安になります。
税金を申告しないという選択肢が難しくなる
別の回でもお伝えしましたが、個人で保有する場合にも所得税を払う義務はあります。ただ、確定申告をせずに所得税を納めないでいらっしゃるタイ人、外国人の投資家がいることも事実です。
会社を設立することで、源泉徴収義務が発生し、毎月の申告が必要になることから、確定申告をせずに法人税を払わないという対応は非常に難しくなります。
タイでの会社の設立方法
以上よりタイで会社を設立をした方がが良いかなと思われた方向けに、以下ではタイで会社を作る方法を簡単に見ていきたいと思います。
タイ法人に関する基本的なルール
以下で問題となる点は詳しくみていきますが、基本的なルールは以下のようになります。
・会社名は類似商号の有無を確認し、希望の名前で登記が可能
・株主は3人以上
・株主のうち過半数はタイ人もしくはタイ法人
・取締役は1人以上(外国人のみでも可能)
・会社の登記をする本社所在地の住所が必要
・資本金は100万バーツ以上が一般的
会社を作るために準備が必要なもの
会社を作るうえで、検討や準備が必要なところにつきもう少し詳しく見ていきたいと思います。
株主として過半数はタイ人もしくはタイ法人のパートナー
株主3人のうちの1人として、タイ人もしくはタイ法人が51%以上の株式を保有する必要があります。外国人がタイに会社を作るにあたり、一番の問題になりえる点です。
信用できるお知り合いの方がいらっしゃる場合は良いのですが、そのようなタイ人がいらっしゃらないのが通常です。日系の会社がタイに進出する際、良く使われているのが、日本の大手都銀のタイにある関連会社が、タイ法人の設立にあたり出資するサービスを提供しています。ご興味がある方はお付き合いのある銀行に確認してみると良いかと思います。
知り合いの方が複数いらっしゃる場合には、知り合いの方何人かにわけて合計51%を保有してもらうことも考えられます。1人あたりの株式保有割合を下げることで、多少リスクを減らすことにはつながります。
株主であるため、パートナーともめても、すぐに会社名義の不動産を売られてしまうといったことはありませんが、過半数以上をその方(その方々)の名義になってしまうことを考えると慎重に検討が必要なポイントとなります。
会社を登記する住所
こちらは株主に比べ、難しい問題ではありませんが、住所を決める必要があります。実際にスタッフを雇ったりすることを想定していない方も多いでしょうから、その場合には日系の会社でも、サービスオフィス、バーチャルオフィスといった形で会社の住所を貸してくれるサービスをしておりますので、そのようなサービスを利用することになるかと思います。
(ご参考)
・Office23 https://office23.asia/
バンコク中心部のASOK駅近く便利な立地、業歴も比較的長い会社です。
・クロスコープ https://crosscoop.com/office/bangkok
日本でレンタルオフィスやシェアオフィスを運営している会社のバンコクの拠点です。
資本金
特に最低資本金という制度はありませんが、100万バーツ以上(就労ビザの発給を考える場合には200万バーツ以上)の資本金とする会社が多いように思います。100万バーツ程度の資本金であれば、実際の現金の振り込みなしで登記できてしまうケースもありますが、資本金相当額の現金は用意しておいた方が良いです。
資本金ですので一度振り込みを行った後は、不動産の購入や内装家具の購入といった、不動産投資の資金として利用することは可能です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。コンドミニアムを1件購入したぐらいでしたら、会社を設立する必要はないかと思いますが、年間の賃料が100万バーツを超えるぐらいになってきましたら、会社設立を検討しても良いかもしれません。
なかなかご自身で手続きをするのは難しいため、専門家に相談したうえで手続きを行うことをお勧めいたします。
当サイトの運営会社でも、会社設立サービスは承っておりますので、よろしければ下記リンクもご参照ください。
■Take Up Consulting
https://takeup-consulting.com/
不動産投資のコンサルティングを17年間、そのうち、7年間はタイ・マレーシア・フィリピンを中心に東南アジアを飛び回り、投資コンサルティング及び運用アドバイスに7年間携わって参りました。本サイトではその経験と、最新情報から皆様の東南アジア不動産投資に有用な情報を提供していきたいと考えております。