カンボジア 不動産購入からお引き渡しの流れと注意点

今回はカンボジアの不動産購入、そして完成した物件の引き渡しのプロセスと注意点をご説明いたします。

 

登記簿・権利証の種類に注意

まずはお引き渡しにおいて一番注意すべきポイント、物件の所有権はハードタイトルなのか、ソフトタイトルなのかという点についてご説明いたします。こちらはご購入前に確認できることがベストかと思います。
カンボジアは長い内戦にみまわれ、内戦中、カンボジアの土地制度は崩壊、土地所有権の権利書と登記簿の多くが失われてしまいました。カンボジアの首都プノンペン では登記簿の整備はされつつありますが、それ以外のエリアでは登記簿が整ってないエリアも数多くございます。

 

ハードタイトルとソフトタイトルの違いは?

ハードタイトルとは、記載されている権利が国土整備・都市化・建設省の管轄下にある登記所に正式に登記されている権利であることを示します。また、権利を取得した場合には、登記所のスタンプがおされた権利証が発行されます。

ソフトタイトルとは、一般的には地方自治体の長が申請者による物件の占有を証明した書類や、売買当事者の占有権譲渡契約書を証明した書面を指します。つまり、正式に登記所に登記されていないものであり、所有権を示すものになりません。事実上、手数料を支払えば簡単に取れてしまうので、他に所有権を主張する者が現れたり、他にもソフトタイトルを所持している者が現れたりする恐れがあります。

基本的にハードタイトルには以前の所有者と現所有者の氏名が記載されております。また、政府機関から承認された図面が挿入された厚紙がハードタイトルです。それ以外の書類に関しては基本的に所有権の証明にならないとお考えください。

 

カンボジアでの物件引渡の流れと注意点

それでは次にお引き渡しの流れを解説していきます。
流れは日本と大きな違いはございませんが、国外の不動産の為、任せっきりにせず、仲介業者立ち合いのもとご自身でも確認しながら進めていただくのが良いかと思います。

 

コンドミニアム引き渡しの主な流れ

・お引き渡し可能通知

・瑕疵チェック

・鍵のお引き渡しと登記手続き

 

お引き渡し可能通知

物件完成後、一般的にお引き渡し可能日から30日前にメールなどで通知がございます。同時に仲介業者にも連絡が行くことが多い為、仲介業者からも確認の連絡がいくかと思います。

 

瑕疵チェック

通知受領後、物件の瑕疵チェックを行います。物件の不備がないか、売主立会のもと行われます。万が一渡航が難しい場合、仲介業者様が代理で行うこともございますので、そこまでサポート体制があるか否か事前に確認していただければと思います。

物件の仕上がりは日本のものと比較してしまうと、指摘が多くなってしまうかと思いますが、大きな問題は少ないかと思います。もちろん、建築するディベロッパーの力量によりますので、ディベロッパー選びは慎重に行った方が良いかと思います。瑕疵が見つかった後の対応スピードも当日から動いてくれるか、数日後に対応するのか、ここもディベロッパーによって様々です。通常、修繕にかかる日数は2、3日から2週間ほどです。

 

鍵のお引き渡しと登記手続き

物件の瑕疵是正が完了され次第、鍵のお引き渡しとなります。この時、瑕疵が本当に直されているか再度ご確認いただければと思います。

問題がなければ鍵のお引き渡しとなりますが、登記手続きも同時進行で行います。登記手続きは日本では、司法書士が即日、1週間程度で登記識別情報が発行されますが、カンボジアでは時間がかかることが通常です。通常1‐2か月程度、長いと3ヶ月程度かかることもございます。

方法は売主が登記手続きを代行する場合と、買主が弁護士に依頼して行う場合のどちらか選ぶことができるのが通常です。弁護士の依頼に関しては仲介業者が探してくれるところもございます。弁護士に依頼される場合は別途弁護士費用(10‐15万円程度)が発生いたしますが、確実な登記手続きが進められると思います。販売元デベロッパー、購入をお手伝いしてくれた仲介会社への信頼度によりますが、登記簿もカンボジアの言葉、クメール語での記載となりますので、保険の意味として、弁護士を使っても良いかもしれません。登記簿はお支払いした売買代金の対価としての所有権を証明する大事な書類ですとなります。

登記手続き完了後には、登記簿を受け取ることができます。ご自身でカンボジアに渡航して登記簿を受け取りに行くか、または仲介業者様に依頼し受け取る方法もあるかと思います。

 

以上がお引き渡しまでの流れとなります。
国内不動産と大きな違いはないかと思いますが、日本に比べると未熟な部分が多く存在します。日本の不動産取引との違いを意識しながら、1つずつ確認し進めていくことをお勧めいたします。