勝ち抜くコンドミニアム賃貸経営 バンコク編 【貸せる5つのポイント】
バンコクのコンドミニアムを購入された方でなかなかテナントがつかず、ストレスを感じている投資家の方も多いかもしれないです。
本日は現在のバンコクの賃貸マーケットがどのようになっているのか、また、そのような方どのような対策方法があるのか2回にわけて、検討してみたいと思います。
このページの目次
現在のバンコクの賃貸マーケット
バンコクのコンドミニアムの市況を数字で確認
2019年のバンコク中心部の空室率は13-17%ほどというデータがありました。個人的にはもっと高い数字がでるかなと思っていたのですが、意外と統計データでみると空室率はまだ低い状態を保っているころがわかりました。
(参考URL:https://www.area.co.th/english/area_announce/area_anpg.php?strquey=press_announcement3291.htm)
ただ、約6件のうち1件は空室ということになるので、上手に賃貸経営をしていかないと、空室期間が長引いてしまうことも想定されます。
バンコクのコンドミニアムを借りるテナントとは?【3種類の賃貸需要】
次にバンコクでコンドミニアムも借りる方はどのような方になるのが考えてみたいと思います。
まず、お伝えしなければいけないのは、タイ人は日本人に比べ非常に持ち家志向が強いです。1990年代後半のアジア通貨危機以降、不動産価格は下落をしたことがなく、土地神話がまだまだ存在します。どうせ毎月3万円、5万円賃料を払うぐらいなら、ローンで家を買ったら、将来値上がりして売れる!といった考えをもっている人たちが多いということです。結果、一定の安定した収入をもっているタイ人が、賃貸で家を借りて住むというのは、まれな選択肢となっています。
3種類の賃貸ターゲット
バンコクには大きく3つの賃貸需要にわかれます。ご自身がお持ちのコンドミニアムがどの賃貸需要にあった物件か確認することは、テナントが付きやすくなるための対策を検討するにあたり重要なことになります。
日本人をはじめとした駐在員
一番高い賃料を払ってくれる賃貸層は、日本人をはじめとした駐在員となります。日本人だけではなく、欧米からの駐在員もこのカテゴリーにはいります。
何がほかの層と大きく異なるかというと、「会社から厚い家賃手当」をもらうことができるという点です。日系の会社であれば少なくとも10万円程度、多い会社では単身赴任者にも20万円近い手当を出している会社もあります。欧米の金融系や大使館に勤める方々は100万円近い家賃手当相当をもらっていることもあるようです。
駐在員といわれる方々は、この手当を利用して家を借りるので、できる限り安くて良い物件を探そうという気持ちはありません。当然、きれいで広くて、便利な場所と良い物件を探しますが、値段はあまり重要な検討要素になりません。実質、家賃は会社が払ってくれるからです。
このような駐在員層が賃貸する予算は、3-5 万バーツ(10-20万円ぐらい)となります。
現地採用の外国人やアジア各国からの駐在員
続いて2つめのカテゴリーですは、現地採用の外国人やアジア各国からの駐在員となります。1つめの駐在員と異なる点は、「会社から厚い家賃手当」をもらうことができないという点です。現地タイで採用された日本人は、会社の都合でタイで働いてもらうわけではないということから、会社から家賃手当がでないことがほとんどです。また、中国、インド、マレーシアといった国からもタイに働きにきている方々もいらっしゃいますが、家賃手当とうい手当がなかったり、日本人に比べると非常にすくなかったりします。
結果、家賃にはあまり大きなお金を使うことができず、だいたい1-2万バーツ(3.5-7万円ぐらい)の物件を探される方が多いカテゴリーです。
安定した収入を得ることができないタイ人
最後は安定した収入を得ることができないタイ人、つまり家を購入したくとも、銀行からお金を借りることができないタイ人というカテゴリーです。
支払うことができる家賃はだいたい1-3万円ぐらいとなります。安定的に賃料を払ってくれるのか?という疑問も残る層なので、賃貸経営という意味ではあまり質の良いテナントとは言えないカテゴリーになってしまいます。
あなたのコンドミニアムはどの賃貸カテゴリー?
上記3つのカテゴリー、あなたのコンドミニアムはどのカテゴリーがターゲットになる物件でしょうか。判断のポイントは過去や現在貸すことができていた(いる)賃料が、一番わかりやすいと思います。
おそらく、いわゆるコンドミニアムを購入されているということであれば、駐在員層もしくは現地採用層がターゲットとなるコンドミニアムである可能性が高いです。ただ、購入した価格が300-500万円だったという物件は、もしかすると現地採用組も借りない(もっと賃料が安い)可能性がありますので注意が必要です。
バンコクのコンドミニアムのターゲットに応じた賃貸戦略を考える
ここまではバンコクのコンドミニアムの賃貸マーケット、またどのような賃貸需要があるのかを確認してきました。
今回は、日本人の方々が最も購入されているだろうと思われる、駐在員ターゲット、現地採用をターゲットとしたコンドミニアムについて、どうやったら、よりテナントがつきやすくなるか考えていきたいと思います。
駐在員ターゲットののコンドミニアム
駐在員の方々の家探しの傾向として、家賃はあまり気にしませんが、予算に余裕があるからか、かなりわがままなテナントさんが多いです。仲介会社の営業担当もわがままなお客さんをうまくコントロールして、家を決めてもらっています。その傾向を念頭にいれた上での対策となります。
日系大手仲介会社をメインに依頼
特に日本人は日本人営業担当がいる仲介会社を選び、日系に限らず仲介会社もできる限り高い仲介手数料がもらえる駐在員をメインの顧客としている会社が多いです。
駐在員がターゲットとなるコンドミニアムをお持ちの方は、駐在員をメインのお客さんとする大手仲介会社に賃貸の依頼をすると、より効率の良いテナント探しができると思います。
適切な賃料設定
これはどの国、どのエリアにいっても共通ですが、適切な賃料設定が重要です。マーケットに比べ高すぎる賃料設定をしていては、当然、テナントはなかなかみつかりません。
適切な賃料設定はどのようにみつけたら良いのでしょうか。1つめとして、先ほどお話しした駐在員の家賃手当の相場を意識するというのが重要です。また、これもどの国、どのエリアでも共通ですが、競合物件の賃料情報を集めることも重要です。管理会社に管理を預けている方は管理会社に近隣の競合物件の賃料情報を集めてもらうのが良い思います。
仲介会社に裁量幅を与えてみましょう
個人的に一番大事だと思われる点がこちらです。「仲介会社に裁量幅を与える」。日本人のオーナーさんは日本にお住いの方が多く、仲介会社からすると連絡がなかなかつきずらいと思われているケースが多いです。タイ人のオーナーであれば、見込みテナントが見つかった場合に多少の条件調整など、すぐに電話をすることもできますが、わざわざ国際電話で・・・と思う仲介会社も少なくないと思います。(LINEなどインターネットを使った無料通話も発達してきてはいますが)
裁量幅を与えるとは、本当の希望は35,000バーツだけど、30,000バーツまでは交渉の流れに応じて仲介会社さんに任せるよ。入居にあたり備品の買い足しなど要望があれば、10,000バーツまでは、テナントさんの要望きいてあげてください。このようなことを、仲介会社への裁量幅という表現をいたしました。
本章冒頭でお伝えしたとおり、駐在員の方は、わがままな方が多く、日本のテレビが欲しい、インターネットが欲しい、週2回ぐらいは掃除を入れてほしいなど、いろいろな要望が案内時にでてくることがほとんどです。5,000バーツ程度の賃料の幅を仲介会社に与えることで、仲介会社がインターネットと日本のテレビはOKです。と即答できることは、テナント付けに対し大きな意味があります。ご自身で考えても「確認します。」といつ帰ってくるかわからない返事を待つよりは、即答で条件が決まったお部屋を選ぶことにならないでしょうか。
仲介手数料ふやす
ちゃんとした情報をもとに適切な賃料を設定しているにも関わらず、内覧の案内数すら少ないといった場合には、仲介手数料を増やすことも検討する必要があるかもしれません。タイには宅建業法にあたるような法律がなく、仲介手数料が法律で決められていることはありませんが、何となく1か月分の賃料相当としているコンドミニアム・オーナーが大多数です。
内覧の案内数すら少ないということは、近隣に競合物件が多く、なかなか案内の機会もまわってこないということですので、仲介会社に直接的なインセンティブとして仲介手数料を1.5-2か月あげるというのも1つの選択肢になります。なんだか、通常の2倍も払うと思うとすごく損した気持ちになりますが、1か月間空室期間が延びることと、2か月分の手数料を支払うことは収支でみるとは同じことになりますので、いち早くテナントを見つけてもらったほうが良いかもしれません。
前項でお話した裁量幅とセットで依頼するといったことも考えられます。仲介手数料と備品の買い足しで、合計、賃料の2か月分と設定してあげて、どのようにテナントと交渉するかは仲介会社に預けてみるでしたり、賃料35,000バーツだったら2か月分、30,000バーツだったら1か月分としてみるといった例が考えられます。
内装の拡充は必要か?
日本のマンションと異なり、バンコクのコンドミニアムは内装付きで賃貸をすることが通常です。テナントが長らくつかないからということで、大規模な内装工事は必要になるでしょうか。
個人的な考えにはなりますが、内装が古びて清潔感も感じられないぐらいでなければ、内装工事は不要ではないかと思います。内装の趣味(色やデザイン)は、そのテナントの好みにも大きく寄りますし、必要な備品もテナントによって異なります。(料理をしない単身の人には、鍋やフライパンもじゃまでしかありません。)
もし、内装をしなおす予算をお持ちであれば、仲介手数料の上乗せや、テナントの希望にあわせた備品購入に予算を回したほうがより効率的かもしれません。
現地採用ターゲットのコンドミニアム
現地採用の方々の家探しの傾向として、家賃は非常に重要な比較要素になります。ただ、安い家賃で借りようとしていることを理解しているテナントも多いため、駐在員に比較してわがまま度は減少します。大手日系仲介会社は1件あたりの仲介手数料が安いからという理由で、現地採用の方をお断りしている会社もあります。
現地仲介会社をメインに依頼
上記でお伝えしたとおり、日系大手仲介会社は現地採用のような予算が1-2万バーツぐらいのお客さんを断るようなところもあります。オーナーから1-2万バーツの賃貸付けの依頼をもらったときに、ストレートに断ってくれる仲介会社は少ないです。オーナーも複数の仲介会社に依頼していることも知っているため、断って印象が悪くなるぐらいなら、案内はしないが承りました!という方が感じが良いと思っている会社が多いのかもしれません。
テナントもそのような傾向を知っているので、日本人の営業担当にかかわらず、インターネットで目当ての物件を探し、それが現地の会社であったとしても、問い合わせをするテナントの方が多いといえます。
そのため、現地採用がターゲットとなるコンドミニアムをお持ちの方は、日系大手よりはタイ現地の仲介会社を重点的にまわり依頼をしていった方が効率的に良いテナント探しができると思います。ただ、日本人の方が日本から1つ1つタイの仲介会社に依頼して回るのは大変だと思います。管理会社にそのような仲介会社に重点的に営業してもらうよう依頼するといった方法が現実的になるかと思います。
適切な賃料設定
これは駐在員ターゲットの物件と同様、重要な要素になりますが、現地採用組はより価格にシビアなため、ほかのお部屋より1000バーツ安いといった点が決めてになったりします。
近隣の物件を参考としながら、投資プランとの比較検討になりますが、同じコンドミニアム内で最低価格に設定するといった方法をとると効果的です。
仲介会社に裁量幅を与えてみましょう
いきなり同じコンドミニアム内で最低価格にするには、、と抵抗がある方にはこちらをお勧めします。同コンドミニアム内で中間的な賃料設定で募集しつつも、仲介会社の裁量で具体的なテナントからの申し込みがあるのであれば、同コンドミニアム内で最低価格帯まで引き下げる権限を仲介会社に与えておくということです。こちらもキーワードは仲介会社による「即決!」ですので、そのような要望があったら連絡ください。ではなく、そのような要望があったら決めてしまってください!と仲介会社に事前に依頼しておいた方が、より効果があります。
仲介手数料ふやす
こちらも駐在員ターゲットの物件の場合と同様ですが、現地採用向けの物件の方がより重要度が高いかもしれません。それは仲介会社の手数料がもともと小さな物件なので、例えば2倍の仲介手数料にしてあげることで、仲介会社は駐在員向けの物件を仲介したのと同程度の手数料をもらうことができるようになります。手数料が少ないからという理由で敬遠する日系大手仲介会社も、真摯に対応してくれるようになると思います。
内装の拡充は必要か?
本章冒頭でお伝えしたとおり、1-2万バーツの予算で探す現地採用の方々は、限られた予算で探していることを理解していることもあり、よほど室内が汚い状態でなければ、内装の重要性は低いと思われます。備品についても、駐在員は3-5年と決められた年月で赴任していることとと比べ、比較的長期で滞在することを考えている人の方が多いのが事実です。結果、生活に必要な備品は自分で買いそろえたりすることもいとわないテナントも多く、備品の充実についても重要度は低いと思います。
コロナウイルス感染拡大による特殊事情
以上は通常の状況下での賃貸事情についてのお話となります。
2020年4月現在、バンコクでも非常事態宣言が発動していることもあり、ビジネスの動きがどの業種にも関わらずかなり鈍くなっています。
ショッピングモールは閉鎖、レストランや普段は日本人外国人でにぎわうバーや居酒屋も持ち帰りやデリバリー以外の営業はできないという状態が1か月半ほど続いています。
また、各国の駐在員も本社からの指令で、母国に一時引き上げも出ているほどで、新たな赴任者はほとんど来ていない状況があります。
以上の状況より、現在のバンコクの賃貸マーケットは、新たなテナント候補が国外からはいってこない、また現在バンコクに在住する方も、わざわざ引っ越しをすることもなく、現在の契約を延長するといった傾向が強く、通常のマーケット環境下に比べ、非常に厳しい状態となっています。
この状況下でいうと、同じコンドミニアム内での引き抜きが一番可能性の高い方法になっています。同じコンドミニアム内であれば、荷物運びもコンドミニアム内で済み外出する必要もありません。
現地採用向けの物件であればストレートに賃料を安くして、ほかの部屋から引き抜く、駐在員向けの物件であれば、ほかの部屋に比べインターネットやテレビサービス、清掃などのサービスを多めにつけて(サービスをつける=サービス料はオーナー負担となるため、実質の手取り賃料が減ります。)あげて引き抜くといった方法が考えられます。
当社では適切な賃料についても無料で査定が可能です。テナント探しの1つの参考に賃料の無料査定をしてみてはいかがでしょうか。また、日系大手仲介会社からタイローカルの仲介会社まで幅広いネットワークもありますので、バンコクの賃貸でお困りの場合にはぜひ、一度ご相談頂ければと思います。
不動産投資のコンサルティングを17年間、そのうち、7年間はタイ・マレーシア・フィリピンを中心に東南アジアを飛び回り、投資コンサルティング及び運用アドバイスに7年間携わって参りました。本サイトではその経験と、最新情報から皆様の東南アジア不動産投資に有用な情報を提供していきたいと考えております。