アフターコロナのバンコク コンドミニアム市場
バンコクポストにて、縮小傾向のバンコクのコンドミニアムマーケットに対するコロナウィルスの影響に関する考察が報じてられています。大手不動産会社Savills Thailand Ltdリサーチ&コンサルタントJeremy O’Sullivan氏による考察となります。
低調なバンコクのコンドミニアム市場
コロナウィルス感染拡大前の2020年初旬より、バンコクのコンドミニアム市場は買い手減少、買い手減少による完成在庫の積み上がりにより、厳しい状態となっていました。さらにコロナウィルス感染拡大が追い打ちをかけた状態になっています。
2019年には2018年から34%減少となる56,000戸のコンドミニアムが新しく発売されました。今後4年間における販売開始予定があるコンドミニアムは98,000戸に留まっており、この減少傾向はしばらく続くものと考えられています。
コロナにより売れ残り在庫は減少へ
一方、新規開発のスローダウンにより、2013年より一貫して増加してきた未販売在庫の減少が期待されています。別の記事でも紹介しましたが、世界的な経済後退によるリスクを回避するため、一部のデベロッパーは、大幅な割引策を講じ未販売在庫の減少を進めています。その効果が出たのか、2020年2月、3月とコンドミニアムの所有権移転登記数(=デベロッパーの販売完了戸数)が前年同月比それぞれ13%、4%と増加しています。
割引の内容としては、1-3年のローン返済を免除するものや、コンドミニアムへの管理費用の免除、大き
なものには50%のディスカウントといったものまで見られます。これらの大幅割引により、デベロッパーが利益を得ることは難しくなっていますが、さらなる経済環境の悪化が予想される中で、不良在庫となっていたコンドミニアムが市場に流れていくこと自体が重要なことと考えられ始めています。大手デベロッパーである、プクサー、スパライ、サンシリといったデベロッパーは上記ような大幅割引により、2019年に比較し第一四半期の売上は大きく向上しています。
アフターコロナのバンコクのコンドミニアム市場
コロナウィルス感染拡大以前より、多くのデベロッパーはコンドミニアムの開発事業からの撤退、事業縮小を計画してきました。現在はさらに多くのデベロッパーが、コンドミニアム開発事業からの撤退、事業の無期限延期を考え始めています。
それでもコンドミニアム開発事業を継続するデベロッパーは、より慎重な価格設定、慎重な資金調達を行い開発事業に臨むことが考えられます。アフターコロナのバンコクのコンドミニアム市場は、以前とは見違える様相を呈していることでしょう。
結果、バンコクのコンドミニアム市場は健全な方向に向けて回復方向に向かっていくとかんがえられます。
まとめ
本記事は以下のバンコクポストの記事を参考に私見も交えまして、記載させて頂きました。コロナウィルスの悪い影響ばかり報じられる中、コロナウィルスがコンドミニアム市場を良い方向へ舵を切るきっかけとなったというのは非常に興味深い記事でした。
https://www.bangkokpost.com/business/1926668/condo-market-consolidates
新築コンドミニアムが減ることで、おざなりにされてきた感がある中古コンドミニアム市場に注目が集まる日も近いかもしれません。
不動産投資のコンサルティングを17年間、そのうち、7年間はタイ・マレーシア・フィリピンを中心に東南アジアを飛び回り、投資コンサルティング及び運用アドバイスに7年間携わって参りました。本サイトではその経験と、最新情報から皆様の東南アジア不動産投資に有用な情報を提供していきたいと考えております。