難しい状況が続くバンコクのコンドミニアム日本人駐在員賃貸市場

管理をお預かりしているお客様のコンドミニアムにやっとテナントを見つけることができましたので、本日はテナントを見つけるまでの経緯などお伝えできればと思います。

 

お客様のバンコクのコンドミニアム

お客様はバンコク・スクンビットのエカマイという駅の近くのコンドミニアムを、投資用として保有をされています。BTS(電車)の駅までも徒歩圏、マックスバリューへも徒歩1分という好立地であること、バンコク・スクンビットの中では比較的、閑静な通りに面しており、便利な割に静かに暮らすことができるということで、2014年にご購入頂いてから、ほぼ途切れることなく、テナントがいたコンドミニアムです。サイズも50㎡の1bedルームと単身の駐在員の方が広々使えるサイズと、人気のある間取りであったことも、稼働率が高かった要因として考えられると思います。

 

2020年コロナにより状況が激変

2020年3月に賃貸借契約満了により前テナントの退去がありました。お部屋自体は気にいっていたものの、奥様が日本からお引越しされてくるということで、会社からの家賃手当があがることもあり、2bedルームにお引越しされたいということで、やむなしの解約・退去でした。それでも過去の実績からすると、あまり長い空室期間をあけることなく、新しいテナントがみつかるだとうと思っていたのですが、3月末から状況が一変しました。

4月にでた非常事態宣言から、4月・5月とバンコクにある賃貸仲介会社も実質休業の在宅勤務という状態で、テナントがお部屋を探そうにも、不動産屋さんが閉まっているといった状況でもありました。また、タイに民間機が到着することができなくなり、4月に赴任を予定していた駐在員の方が、いまだにタイに赴任できない状況が続いています。(8月現在、厳しいチェックと14日間の隔離待機を覚悟で渡航されはじめている方もいらっしゃるようです。)新しいテナント候補が増えないため、お部屋の賃貸希望者が増えるわけもありません。

また長引くコロナウィルスの影響から、日系企業も駐在員の待遇を見直すところも増えてきています。給与や手当の一部カットや、住宅手当の見直しなどといった見直しをよく耳にするようになりました。コンドミニアムの賃貸市場に響くのは、住宅手当の見直し・減額です。もともとバンコク・スクンビットエリアのコンドミニアムは、日本人をはじめとした外国人駐在員の高い住宅手当を目当てとして建設された、投資物件が多く存在します。日系企業の家賃手当の減額となると、それらのコンドミニアムの家賃相場が崩れてしまうのです。

 

テナントが決まったきっかけは…?

2020年3月の空室になってから、長らくテナントの内覧もない日が続いていました。

ここにきてテナントが決まった要因は、皮肉にも日系企業の家賃手当の減額でした。新テナントはもともと同コンドミニアムに住んでいる方で、立地、間取りとしては引っ越しはしたくないが、会社からは家賃を下げるように指示がされている。同コンドミニアム内で、賃料が下がるお部屋はないか?というのが今回のお引越しの理由でした。

その理由のとおり、2020年3月に解約となった賃貸借契約の4万バーツ(約15万円)に比べると7000バーツの賃料減額の、33000バーツでの契約となりました。約20%、2万円以上の減額という日本では信じられないような、減額幅になりますが、元来、ボラティリティが高い新興国の賃貸市場で、今回のコロナのような事態が起こると、このようなことが起こるのがバンコクの賃貸市場です。オーナーのお客様もそんなに安いのですか!と驚いていた様子でしたが、半年空室が続いていたこともあり、入居に同意頂くこととなりました。

 

まとめ

今回お伝えしたかったのは東南アジアの不動産市場の高いボラティリティです。「ボラティリティ」とは日本語に直すと、「変動率」。これは値上がりや賃料上昇という良い方向への変動も指しますが、同時に値下がりや賃料減額といった悪い方向への変動率も含みます。

値上がり期待で購入した不動産には、市場の状況によってはこのような悪い方向への大きな変動もあり得ます。投資、運用にあたっては、値上がりだけでなく、悪い方向の変動も計算に入れたうえで投資を検討されることをお勧めしたいと思います。